結論、簿記資格は徐々に必要なくなってきています。
その主な理由は経理作業の効率化です。
簿記知識を必要とする経理職でかなり効率化がすすんでいます。
手作業をしなくても済む仕事が増えてきました。
これは簿記知識を持つ人の仕事が減っているということを意味しています。
ただ、よく言われる簿記が必要なくなるという意見には2つの文脈があり
①必要性が0になる(全くいらなくなる)
②必要性が下がる(今より相対的にいらなくなる)
この2つは似たようで全く別の話になってきます。
結論、①はありえないが②は確実に現場でも進行していて今後もすすむだろうと思われます。
簿記が必要なくなるという通説に対し実際に現場で経理をやっていた経験から意見・解説していきます。
効率化により社会で簿記の必要性が下がっている
経理の現場で進んでいる効率化を簡単にまとめると、次の3つになります。
・会計システムの登場・進化
・ペーパレス化の浸透
・AIによる分析機能の進歩
などがあります。
会計システムの進化が経理業務の削減につながっている
昔は紙の伝票に直接手書きで仕訳を書いていました。
それが今では会計システムの進化、普及によってパソコンに打ち込むだけになり、作業量が大幅に減っています。
実際ぼくの職場では、昔は経理の人数もたくさんいて紙に仕訳を記録していたとのことです。
ですが今ではパソコンで素早く入力できるようになり、経理に必要な人数も大幅に減ったとのこと。
そして、会計システムの進化によってさらに下記のような作業も不要になってきています。
・入金データ処理の自動化
・伝票記帳の自動化
販売管理システムと会計システムを連携させることで、パソコンで伝票をみて記帳する必要性もなくなっているとか。
また、銀行の入金データを会計システムに取り入れるだけで仕訳されるとか。
とにかく、仕訳は人の手を不要としてきている流れがあります。
ペーパーレス化で発送や紙保存がなくなってきている
2022年から電子帳簿保存法という法律が施行されました。
この法律を簡単に言えば、これまでの紙での書類の保存義務が、これからは電子情報としてパソコン等の中で保存するようにしろというものです。
つまり「書類のデジタル化」です。
紙での膨大な書類を管理維持したりする必要がなくなり、その分人員などのコストが削減されると言われています。
あらゆるものがペーパレス化されてきています。
・請求書
・支払明細
・売上伝票など
WEB請求書の出現にともなって、紙の請求書を赤いポストにいれて発送するという作業もなくなってきています。
パソコンで全部完結するようになってきているのが、このペーパレス化です。
AIによる分析機能などが進化している
データの分析などもAIが行うようになってきています。
経営状態の把握など、簿記知識がなくてもAIが勝手に分析してくれる機能があるものもあります。
営業が経理から資料をもらって共同で分析せずとも、勝手に分析できるようになってきています。
とはいえ簿記が必要なくなるなんて考えられない理由
さまざまな時代の変化によって、経理作業の大幅な効率化がすすんでいます。
たしかに、簿記知識を活かせる仕事が減っている流れにあるのは事実、だがしかし。
・入金処理の自動化
・WEB請求書の利用
・紙保存の廃止
こんな最先端でおしゃれな職場ばかりではないんです。
よくこういう効率化の話題を出す人はだいたい偉い人とか、優秀な人とか、ようするにおしゃれでイケイケな職場で働いている人々です。
僕の会社含め、現実ではほとんどの職場でまだまだアナログなやり方が主流です。
経理担当者の約8割が紙を使ったアナログな請求書関連業務をしていると判明
JIJI.COM
また、経理には効率化できないような作業もたくさんあるのが実情です。
というかそちらの方がメインになってきます。
・資料から経営の分析、提案
・新たなシステムの導入
・税務署、銀行などとのやりとり
・新しい法律への対応
効率化の流れでも対応しずらい部分がかなりあるのが現実です。
AIが資料を分析できるのも、ネット系のビジネスなど限定的な場面に限られたりします。
さらに、この効率化も100%日本全体に普及する未来はかなり遠いでしょう。
・紙文化を大事にする企業は多い
・変化を嫌う風潮もある
・一つ一つの取引先に合わせる必要があって機械対応が難しい
・AIにはできないことも多い(土下座など)
経理の仕事が効率化されているのはぼくの職場でも事実ですが、100%なくなることは考えずらいです。
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まとめ:経理がなくなっても簿記は必要なの?
話は少しそれますが、簿記の起源に関して。
複式簿記は, 13世紀初頭のイタリアで発生したが, 簿記の起源は, 複式簿記の起源であって, 単式簿記の起源ではない。では, 単式簿記の起源は, いつになるのであろうか。複式簿記は, 単式簿記から進化したという解釈が一般的のように思われる。もし, 簿記を企業間の商取引を記録し, 利益を計算し, それを報告するプロセスであると規定するなら, 簿記の起源は, 複式簿記以外の何物でもない。……
CiNii:単式簿記は複式簿記の萌芽なのか
1200年頃に発生したとされる簿記、つまり約800年の歴史をもっていることになります。
そんじょそこらの時代の変化で必要なくなるとは思えません。
経理職以外でも簿記が必要になることは多いです
・個人事業主の確定申告
・経営を分析するとき
・企業の財務状態を見るとき(銀行・投資家)
・世の中のお金の流れの教養として
簿記が必要なくなるとはとても考えにくいとは思いませんか?
たしかに簿記を主に使う経理仕事がどんどん効率化されていますが、それでも簿記はこの先も世の中で必要とされ続けるでしょう。
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