結構ムズかしくなっています。
上のグラフは約20年前の101回(右)から最近の162回(左)までの合格率の推移です。
左側、すなわち最近に向かうにつれて下がっていることが分かります。
これは合格率が下がっているということを示しています。
今回は簿記2級の合格率が低くなっている理由・背景。
そして難化している中で合格した筆者の体験談をまとめました。
ネット試験のデータも調べたので、合格のための分析・対策にお役立てください。
合格率が低くなっている理由3つ
さて、簿記2級の難易度が上がっている原因は3つ考えられます。
出題範囲が広くなっている
こちらが一番有力とされている理由です。
簿記2級は、2016年(平成28年)から3年間かけて出題範囲の大幅改定を行うことが決定されました。
では合格率を見てみましょう。
2016年より前(青)と後(オレンジ)で、試験10回分の合格率を平均して比較しました。
では新たに出題範囲に加わったのはどのような論点かというと
・連結会計
・税効果会計
・本支店会計
・リース取引
・外貨建取引
商業簿記の方で、かつて簿記1級だった論点が簿記2級に加わりました。
単純に試験問題の難易度が上がっている
簿記2級の問題が単純に難化していることも考えられます。
その背景として
・簿記2級の市場価値を高めるため
・簿記1級との難易度差を埋めるため
といったことが考えられます。
上記はあくまで筆者の予想ですが、商工会議所は簿記1級まで取得することを推奨しています。
4. 1級まで継続した学習を奨励する
初級から1級までステップ・バイ・ステップで上位級をめざせる出題内容としています。
2021年度からの新たな日商簿記検定試験のコンセプトなどについて
受験者数で比較すると、簿記2級は簿記3級の1/2なのに対し、簿記1級は簿記2級の1/3しかいません。
簿記2級から簿記1級にステップアップしやすいように、試験範囲・難易度を調整していることも考えられます。
試験時間の短縮で解き切れない人が増加している?
2020年度まで簿記2級の試験時間は120分でした。
しかし2021年度の158回から試験時間が90分に短縮されています。
データが少ないですが合格率だけ見るとむしろ増える結果となっています。
試験時間の短縮にともなって問題量なども縮小されているのでしょう。
でも1つの問題をじっくり解くのが好きなタイプにはつらい変更です。
試験時間の短縮により解答にあたっては、より速さと正確性を求めるものといたしました。
2021年度からの新たな日商簿記検定試験のコンセプトなどについて
商工会議所様からこのような御触れ(おふれ)が出ています。その背景には。
2.スピードと正確性を求める
2021年度からの新たな日商簿記検定試験のコンセプトなどについて
ビジネスの現場では時間管理は不可欠です。そのため本試験では、スピードと正確性を求める出題内容としています。特に、会計処理で必ず必要な仕訳については、速く確実に行うことを重要視しています。
仕事現場で簿記2級がさらに役立つものにするための変更とのことです。
簿記2級の合格率を徹底分析してみた
結論、合格率を分析してみた結果がこちら。
・直近のペーパー試験は20%
・昔は合格率がだいたい30%
・ネット試験は今のところ40%
さらに深ぼって簿記2級を解説していきます。
ペーパー試験の合格率を検証
直近10回分の合格率や合格者数の推移がこちらです(155回は中止のためノーカウント)。
この直近10回分の平均値はこちらになります。
実受験者数:30,488人
合格者数:6,983人
合格率:22.90%
最近のデータでは合格率が20%くらいであることが分かります。
ちなみに101回から120回までの20回分だと合格率は30.26%でした。
また、157回の合格率はここ数十年で1番低い、8.6%となっています。
簿記2級は70点以上取らないと合格にならない絶対評価制度です。
例えば簿記1級は、難しい回があっても合格率が約10%になるように点数調整されます。
これを相対評価と呼びます。
簿記2級は絶対評価で点数調整が無く、難しい回はとことん合格率が下がってしまいます。
2020年12月より、簿記3級と簿記2級にはネット試験ができました。
続いてそのネット試験のデータも見てみましょう。
ネット試験の合格率は高い!合格率も分析
こちらがネット試験の合格率のデータです。
注目すべきは合格率のところ。
簿記2級のネット試験とペーパー試験の合格率を比較したものがこちらです。
ペーパー試験は156回(2020/11/15試験)以降のデータで算出しました。
左がネット試験、右がペーパー試験、青い点と棒が合格率です。
156回は2020年11月に行われているので、2020年12月に始まったネット試験とほぼ同じ期間の比較になっています。
一件ネット試験の方がすごく簡単な印象を受けますが、そうとは言い切れないです。
「ネット試験とペーパー試験の違い」も解説しているので、よろしければ参考にしてください。
簿記2級が難しい理由&合格者がつまずいたポイント
ぼくは簿記2級に合格しましたが、かなりギリギリ(70点代前半)でした。
簿記3級との違いや勉強でつまずいた点などをご紹介。
試験範囲が広くて網羅できない
やっぱり範囲はかなり広く感じました。
体感で言うと簿記3級の3倍くらいです。
勉強時間も簿記3級の倍くらいはかかりました。
計算が複雑になって大変だった
計算がかなり複雑になります。
簿記3級より、桁が1つか2つは多くなっていたような気がします(体感)。
小数点とかも出てきて、また工業簿記では方程式のようなものもあります。
必要な計算量も多くなり、より正確な計算力が求められるようになります。
新たにでてくる工業簿記でつまずく
工業簿記という新たな論点が加わります。
やはり新たな論点というのはストレスです。
慣れない内はかなり苦戦しますが、意外と商業簿記より点数がとりやすかったりします。
なので個人的には「商業簿記より工業簿記から勉強」するのがおススメです。
簿記2級の偏差値はどれくらい?他の資格と比較
日商簿記2級の偏差値は58とのことです。(出典:資格の取り方)
他の資格と比較してみるとこんな感じです。
資格 | 偏差値 |
簿記1級 | 67 |
プロボウラー | 60 |
手話通訳士 | 58 |
簿記2級 | 58 |
柔道四段 | 57 |
宅建 | 57 |
簿記3級 | 45 |
こちらによると、簿記2級は
・プロボウラーより少し簡単
・手話通訳士になるのと同じくらい
・柔道四段になるより難しい
ということが分かりました。
おまけ:簿記2級を通信講座で最速合格したい方だけ
仕事や家事などでいそがしい方におススメの通信講座はスタディング一択です。
・すきま時間に勉強しやすい
・アウトプットが充実していて定着率高い
実際にぼくもスタディングで簿記1級講座を受講していますが、働きながらでもずっと勉強を継続できています。
注意点として、ここでいう最速合格とは最短の勉強時間というわけではありません。
最短の日数で合格しやすいという意味です。
安い上に、スタディング自体合格率も高いことがこちらの記事で分かります。
>>>【2022最新合格率】スタディングの簿記講座では合格できない?ガチ調査した
まとめ:簿記2級の難化の今後の予測
簿記2級は難化していますが、ネット試験では高い合格率となっています。
筆者の簿記2級合格の秘訣はこのネット試験を受けたことです。
でも、この高い合格率は徐々に下がっていく可能性もあります。
完全に憶測ですが、合格率が高い状態がこの先続くとは限りません。
早めに合格を目指すのが何よりです。
【実体験】日商簿記2級の合格ってすごいVSすごくない!資格価値を徹底検証
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