こんな疑問にお答えします。
早速結論ですが、簿記2級は工業簿記から始めることをおすすめします。
工業簿記から始めたほうが、簿記2級につまずきにくいからです。
また簿記2級の点数はそれぞれ、商業簿記60点、工業簿記40点。
配点の高さという側面をみても、商業簿記から入った方が効率がいいように感じていました。
しかし、実際は逆でした。
この記事では商業簿記と工業簿記を表で比較し、それぞれについて軽く触れて理解してもらいます。
その上でなぜ工業簿記から始めるべきなのか、解説していきます。
【比較】商業簿記と工業簿記の試験内容の違い
商業簿記と工業簿記の違いを早見表にしてみました。
ざっくりとこんな感じです。
商業簿記 | 工業簿記 | |
---|---|---|
文理 | 文系 | 理系 |
系統 | 理解系 | 計算系 |
範囲 | 広い | 狭い |
分量 | 多い | 少ない |
視点 | マクロ | ミクロ |
期間 | 年単位 | 一ヶ月単位 |
業態 | 小売業、卸売業 | メーカー |
内容 | 商品売買等 | ものづくり |
このようになります。
あくまでも相対的な比較で、筆者個人の感覚になります。
では次に早見表の分類を踏まえながら、商業簿記と工業簿記についてかみ砕いて解説します。
商業簿記とは
「商業簿記」は、購買活動や販売活動など、企業外部との取引を記録・計算 する技能で、企業を取り巻く関係者(経営管理者・取引先・出資者等)に対し、適切、かつ正確な報告(決算書作成)を行うためのものです。
日本商工会議所Webサイト
具体的には小売業や卸売業がメインとしている、商品売買などに使われます。
外部報告を目的に行われたりもするので、企業全体の業績を俯瞰できるようなデータ(決算書など)を作るというマクロ的な視点が特徴です。
簿記2級の問題では、問題文や資料の読解力が試されます。
また、勘定科目の暗記や理解も重要で、文系的な側面が強いです。
多くの企業は年一回の外部報告に向けて日々仕訳を重ねます。
問題が年単位なのは、商業簿記のこういった特性があるからです。
工業簿記とは
「工業簿記」は、企業内部での部門別や製品別の材料・燃料・人力などの資源の投入を記録・計算する技能で、経営管理に必須の知識です。
日本商工会議所Webサイト
メーカーなどのものづくりをする会社が工業簿記を扱います。
グラフを使って損益分岐点を導いたり、原価率を計算するという理系的な面が強い簿記です。
企業内部の分析や、一つの商品の原価を追求するというミクロ的な視点が特徴的でもあります。
簿記2級の問題では、範囲が狭く分量も少ないですが、計算が多いです。
工場では、仕入れ値や量などが月単位で大きく異なり、月ごとに細かく管理する必要があり、工業簿記の問題は一ヶ月単位で出される傾向にあるのでしょう。
簿記2級は工業簿記から始めるべき理由
さて、商業簿記と工業簿記を比較しました。
比較からわかる商業簿記の特徴は
・範囲が広い
・分量が多い
・暗記量も多い
まずここだけ見ると、商業簿記をマスターする方が工業簿記より難しいことが分かります。
また暗記の多い商業簿記から始めると、工業簿記をやっている最中に暗記したことを忘れがちです。
商業簿記は範囲も広いため復習も大変です。
工業簿記は未知数なので、最初に勉強を始める時のハードルが高く、ストレスも大きいです。
だからこそ後回しにせず、最初の資格取得へのエネルギーがあるうちにそこをクリアするべきなのです。
そこさえ突破できれば、あとは比較的スムーズに行きます。
逆に商業簿記は最後の方が特に難しいので、工業簿記に移る前に折れがちです。
問題文や資料が難解だと手を出せないものもでてきます。
その点、工業簿記は変な計算は出てきますが、問題は比較的シンプルです。
計算慣れしていけば、だいたい最後まで解き切れるようになります。
工業簿記から始めて、計算慣れもして得点源にできれば、安心して本番に挑むことができます。
まとめ:工業簿記から勉強し始めよう
今回は、工業簿記から勉強を始めるべき理由をご紹介しました。
ちなみに工業簿記から勉強を始めるとこうなりました。
最初のハードル高いけど、その後は比較的スムーズに進む
工業簿記全体の勉強が終る→半分クリアした気分
簿記3級の予備知識で商業簿記が最初スムーズに進む
税効果会計や連結会計は一部あやふやだけど簿記2級合格
とくに税効果会計や連結会計は難しく、理解はできましたが、正直解けない問題もいくつかありました。
ですが工業簿記に自信があったのと、ちょうどその頃にネット試験ができるようになったので試しにと受けてみたら合格できました。
もちろん、商業簿記から始めても合格する人は沢山いますし、商業簿記から始めることが良くないということではありません。
好みの問題もありますし、人によって得意不得意もあります。
ただ、もし商業簿記でつまずいて簿記2級を諦めかけている方がいれば、僕のように工業簿記に移って勉強してみることをおすすめします。
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